いつもその硬く握られた拳を解こうとするのは私
木枯らしの香りをまとったマントに頬を寄せるのも私
ずっと欲しくてつい手を伸ばしてしまったけれど


私の背中はやっぱりからっぽ


貴方は決して私に手を伸ばさない


からっぽの背中が寒くて寒くて仕方がない


私の震えは止まらない


本当はちゃんと気づいているんですよ

貴方が私を持て余しているっていうことに
面倒事は大の苦手ですもんね?
見上げなくてもどんな顔してるかくらいはわかります
きっとその端整な顔の眉間に皺を寄せて

この時が早く過ぎるようにと祈ってる


ほら優しい貴方は拒みもしない
だからずるい私はしょうこりもなくまたその胸に縋りつく

ねぇゼルガディスさん?


いつまで私は





目を逸らしていられるんでしょうね











2007.7.11


逃避